東灘・住吉山手の神戸市指定有形文化財「旧乾邸」の特別観覧に参加してみた! #旧乾邸 #渡邊節 #近代建築 #阪神間モダニズム #文化遺産 #神戸市

この記事のURLとタイトルをコピーする

2019年9月24日スポット情報, 東灘区とは

渡邊節設計「旧乾邸」を見学してきた!

東灘・住吉山手にある、神戸市指定有形文化財「旧乾邸」の特別観覧に参加してきました。美しい外観と邸宅内の様子を、写真でご紹介します。

「旧乾邸」について

旧乾邸は、昭和11年頃、乾汽船株式会社を設立した乾新治氏の自宅として、旧住吉村(現在の東灘区の一部)の山麓部に建築されました。設計者は建築の名手として名を馳せた渡邊節氏。洋風を基調としながら巧みに和洋を折衷し、重厚さの中に繊細なデザインを取り込んでいる旧乾邸は、渡邊氏の代表作とも言われています。阪神間モダニズムを象徴する大邸宅の風格がよく伝わる主屋や土蔵、さらに当時の姿を残す庭園などは非常に貴重なものであり、門や塀も含め建物全体が神戸市指定有形文化財に、また、庭園も一部を除いて神戸市指定名勝となっています。(※文章は、神戸市広報サイトより引用しています)

渡邊節氏についてのご紹介

渡邊節(わたなべ せつ 1884年11月3日 – 1967年)

古典主義をベースとし、関西を中心に商業ビルの秀作を数多く設計した、近代建築を代表する建築家です。合理的なアメリカ流のオフィスビルを得意とし、先日ご紹介した、商船三井ビルディング神戸朝日ビル川西倉庫(※解体済)などがあります。(※画像は、渡辺建築事務所WEBサイトより引用しています)

「旧乾邸」外観のご紹介

特別観覧の期間中は、指定された時間になるとこちらの正面玄関が開きます。応募者多数の為、抽選に当たった方のみ見学が可能となっています。

敷地内に入ると、左手に建物が見えてきました。

今度はぐるっとお庭側から見てみましょう。

中央部に赤い瓦の屋根があり、洋風を基調としながら巧みに和洋を良さを取り入れたデザインとなっています。

鉄筋コンクリート3階・地下1階建て、重厚さを感じる外観です。

庭園は、前庭、洋式庭園、和式庭園、茶庭(※現存せず)をメインとし、六甲山南麓の地形をうまく活かして造られています。

建物の西側からの様子がこちら。ここには日本の伝統建築による和館がありましたが、震災で倒壊し、今は現存していません。

唯一、その名残を感じさせる蔵が残っていました。

玄関側に戻り、いよいよ邸宅内部へ進みましょう。

天井に装飾された丸い明かり取りと、壁面の明かり窓が印象的なエントランス。

美しい円柱が立ち並ぶ車寄せを通り抜けると、

右手側に普段使いの玄関口、

左手側に、お客様が使う正面玄関があります。美しい緑色のタイル装飾が、お客様をあたたかく迎え入れてくれます。

「旧乾邸」邸宅内のご紹介

玄関ホールから扉を眺めた様子がこちら。細かいディティールが散りばめられたアイアン装飾が目を惹きます。床面は「硬化ゴム」という大変貴重なものが使われており、玄関ホールの雰囲気とマッチしています。

明るく大きな装飾窓に、

荘厳で格調の高さを感じることが出来る階段。

チーク材を使った、美しい木目と彫りが特徴的な手すりの装飾。

上へと続く植物の柄彫りに、目を奪われます。

渡邊節氏が寄贈されたとされる壁面のタペストリーは、広島の厳島神社が描かれています。

2階から階段を見た様子がこちら。吸い込まれそうになる程、艶やかで美しい。

3階のサンルーム部屋まで続き、思わず見惚れてしまいました。

「旧乾邸」邸宅内の各部屋の様子

まずはメインとなる1階のゲストルームへ。

大きな窓から庭園を眺めながら、お茶を楽しめるスペースが設けられています。

こだわりを持って造られたゲストルームは、家具や装飾品も全て豪華なものばかり。イギリス中世のジャコビアン様式を基調とされた造りになっています。

まず目に飛び込んでくるのが、こちらの暖炉です。重厚感と荘厳さをあわせ持ち、葡萄をモチーフにした彫刻が特徴的です。たわわに実った葡萄と上へと高く伸びるツルは、縁起の良さから、邸宅の至るところに施されています。(センターに飾られた絵画は、神戸ゆかりの作家、小磯良平氏のレプリカ画だそうです。)

奥まった小部屋は、かつて書斎として使われていたようです。

ゲストルームの北側には階段が設けられています。手すりは草花をモチーフとした細やかなアイアン装飾で、

2階の廊下へと続いています。

ゲストルームの奥は食堂として使われていた部屋があり、ちょうど外観中央の前に突き出した部分にあたります。ジャコビアン様式を基調としたランプや、装飾の数々が堪能できます。

その奥には、次の間と呼ばれる部分があり、

さらに広縁を突き進むと、

大きな和室がありました。かつてこの西側に和館があり、フロント的な役目があったのかもしれませんね。

主屋全体はL字型で、南面に主要な部屋を配置し、北側奥には使用人部屋や勝手口を設けています。

背面階段から2階に上がると、廊下沿い北側に和室が並んでいます。

南側には主人の寝室にあたる部屋があり、左手下部に見える引き戸には、

1階のゲストルームを見渡せる小窓がついています。

レトロなタイル張りの浴室からも、良い眺めが広がります。

最後に3階のサンルームへ。住吉の街並みを一望出来るこちらは、ダンスホール等に利用されていたようです。観覧の際は、壁面にある波模様のガラス窓や、空調窓もぜひご覧くださいね。
荘厳で豪華な「旧乾邸」の特別観覧。年に2回程開催されるそうで、次回のチャンスにぜひどうぞ♪

※東灘ジャーナルでは、みなさまからの情報提供をお待ちしています。
新規オープン・閉店情報、イベントや街で気になること、記者発表や内覧会などございましたら、情報提供はこちらよりお知らせ下さい(※掲載無料)

【名称】
神戸市指定有形文化財・指定名勝「旧乾邸」
【営業日・営業時間】
※特別観覧時のみ
【連絡先】
【Webサイト】

 

神戸市指定有形文化財・指定名勝「旧乾邸」特別観覧開催について

 

【場所】

住所:神戸市東灘区住吉山手5丁目1-30

神戸市指定有形文化財・指定名勝「旧乾邸」

・阪急御影駅から北東へ徒歩約15分
・阪神御影駅またはJR住吉駅から市バス38系統(渦森台行)
「白鶴美術館前」下車南西へ徒歩約2分


この記事のURLとタイトルをコピーする